Hiroのオカルト探検日記

オカルト、魔術書の翻訳、実践日記、その他いろいろ。 オカルトの中の真実を探検するブログ

 Academiaで実践カバラの調べ物をしていたら、ベングリオン大学の教授による非常に珍しい論文を見つけた。第二次世界大戦中のイスラエル地方在住のカバリストらによるヒトラー呪殺の儀式についてである。第二次世界大戦の「秘史」の中でも特上級の話である。
 実践カバラにはその手の黒魔術もあるのは知っていたが、具体的な話は初耳で、興味深く読んだ。
 1942年は連合国にとって厄年であり、世界中で負け続けていたが、特に北アフリカではロンメル将軍のドイツ軍に英軍はエジプトに追い詰められていた。エジプトが落ちたら、イスラエルのユダヤ人共同体も危機となると、不安と騒乱にあった。この時に英軍の将校からラビらに、連合国が勝てるように、カバラで何とかできないかと密かに相談があり、そのため特別な儀式が行われた。
 イスラエルの東西南北の四方で、天から大地へと鶏の血を流しつつ、特別な祈りを唱えるもので、そのために英軍から飛行機が1機用意され、血を容易に落とすために、ドアのハッチを取り外されて、人が間違って落ちないようにネットも付けられて、2人のラビと4匹の「雪よりも白い」雄鶏を乗せて飛び立った。そして飛行機が帰還した時には、機内は鶏の死体と血だらけだったという…。
 そのおかげか、エル アラメインで連合国は反撃に成功して、以後ドイツ軍の脅威からイスラエルのユダヤ人共同体は救われたのだった。
 その他、ヒトラー自身に対しても呪いが行われた。「ドイツ人の君主、アドルフ ヒトラー、クララの息子(実践カバラでは本人と母親の名前を同時に使うのが原則である)、イスラエルの敵よ。(鶏を引き裂いて)このようにお前は引き裂かれ、その名は消し去られ、その記憶も消し去られんことを」と唱えるものである。
 無論、このような儀式はラビらの間でも賛否両論で、当時イスラエルにいたゲルショム ショーレム教授もこの時にカバリストらから「一緒にやらないか?」と誘われたが、そのような事は許されないと言って断っている。しかし、民族最大の危機の時には、これも仕方なしと思えるのである。

 最近はアートと言ってしまえば何やっても許される風潮のようだが、オカルトも伝統的にサイエンスであると同時にアートであると呼ばれていた。
 ここでのアートとは狭義の芸術に限らずに、「術」全般の意味である。ちなみにサイエンスもそうで、狭義の科学だけではなく学問、智の活動全般も含んでいた。昔のオカルト書では、オカルト サイエンスとよく書かれているが、これは科学と読んだら意味が通じなくなる。
 また同時に、オカルトは芸術としてのアートでもあり、言葉の文字通りの意味での美学――神の美を追求する学――でもあった。なぜ、カバラのセフィロトの樹の中心、第6セフィラがティフェレト(美)と呼ばれるのか、プラトンが「真・善・美」のイデアの相の1つに美を唱えていたのかの理由がここにある。
 この美についての感性も、オカルトでは重要であって、絵などによる視覚的なイメージが言葉と同じくらいに物を言う世界なのである。

 ようやく、ホールの百科全書の全ての章を完訳した。
 ホールの本は、細かい部分に異論反論があり、個人的にはホールは少々、古代密儀宗教を過大評価しているように思えるが、全体的に(1920年代のオカルト本としては)良質な内容で、ホールの高い知性と志を感じさせる。
 現代では(特に古代エジプト学とカバラで)オカルトのアカデミズムの研究も大きく進んでいるので、それらの知見を加えた21世紀版のオカルト百科全書も欲しいところだが、そのような大志あるライターは(今の所)欧米にもいそうにない。なんだかんだ言って、ホールはオンリーワンの人物だったのでしょうな。

 次には、最近メルカバー神秘主義に凝っているので、その聖典を幾つかは訳そうかと思っている。

Hall_Portrait

 最近、アッピンの真の赤書(The true red book of Appin)という奇妙な題名のグリモアを読んでいた。個人的には訳して図書館に置きたいほどでもないので、ここで紹介しよう。
 これはワラキア(現在のルーマニア南部)のヴラド公ツェペシュ(1431 - 1476年)が書いたとされるグリモアである。ヴラド公は、オスマン帝国と激戦をしていた猛将で、捕虜にしたトルコ兵を串刺し刑にしていた事から、串刺し公の異名を持ち、19世紀のブラム ストーカーがそれを題材にドラキュラ伯爵の小説を書いている。
 しかし、このグリモアではヴラド公を大英雄として称えていて、残虐な行為をしていたのも、より残虐なオスマン帝国軍に抵抗するには他に手段が無かったからだと弁護している(個人的には同意するものがある)。
 またこのグリモアでは吸血鬼になる方法などは(当然ながら)書かれていない。実際のヴラド公は熱心な(ほとんど狂信的な)キリスト教徒であり、生涯を異端と異教徒(特にオスマン帝国)と戦う誓いをしており、このグリモアもそれを反映してか、キリスト教の祈りとまじない集となっている。穀物を豊かにさせる祈りとか、悪霊を祓う祈りとか。これらは、よくあるグリモアの内容であるが、トルコ兵から学んだ魔術の章など、変わった内容もある。実際にヴラド公が書いたかは疑問があるが、ルーマニア産グリモアというだけでも価値がある。

 アブラフィアの瞑想についての文書も訳して、カバラについてはこれくらいで充分だろう。
 あとは、しばらくは訳し終わっていない本に戻る事にしよう。
 ところで、少し興味深いプロジェクトに参加するかもしれない。これはまだ具体的な形になっていないので、ここではまだ発表できない。目標としていた西洋オカルト書の訳も概ね終わっていて、新しいチャレンジも必要かもしれない。
 ついでに、最近ParadoxのCrusader Kings 2というゲームに久々にハマっていて(Humble Bundleで15ドルで主要なDLCを全部揃えた)、876年シナリオのビザンチン帝国でプレイして、イタリアを再征服してローマ帝国を復興し、1007年にはヨーロッパの大半も征服した。多神教ヘレニズムに戻ったので、各地でキリスト教徒の反乱が絶えないが、それら反乱軍や蛮族の数千の兵に対して帝国軍20万で楽勝で勝ち続けるようになって飽きてきたので、これくらいで止めるのだった。

CK2_Roman_Empire

 バードン流カバラも終わったので、次は本物の――と言ったらアストラル界のバードンに怒られそうなので、ここは穏健に言い換えて――より伝統的なカバラについても、もう少し扱うとしよう。
 バヒールの書も、その歴史的重要性の割には、日本では(欧米でもそうだが)ほとんど知られていないので、ここらで完訳しておこう。カバラについては、人気のある話題な割に正確な情報が少なく、怪しい説が乱舞しているので、本物のカバラについて知る助けとなろう。
 カバラの様々な瞑想行についても、いずれは説明したいが、かなり先になるので、とりあえず英語でも良ければ、Aryeh Kaplanの「Jewish Meditation」と「Meditation and Kabbalah」が良く出来ている。

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